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前回現金の勉強をしましたが、現金に似たもので預金があります。
ああ、銀行に預けてるお金だね。
そう。これもすぐに現金として引き出すことができるので、本質的には現金と同じです。
ただ使われる勘定科目が異なるのでちゃんと覚えてね。
というわけで、今回は当座預金です。
現金でちょっとだけやったね。
そうそう。ところで、インコ君は銀行口座はもってるかい?
うん、あるよ。でもボクのは普通預金っていうんだけど。
そう。個人だと普通預金もしくは定期預金が一般的だよね。
企業も長期の定期預金をもつことがあるんだけど、他には当座預金をもっています。
当座預金は決済専用の銀行口座で、利子はつきません。
口座を開設すると小切手帳をもらえて、この小切手を代金の代わりとして使うことができます。
おお、小切手!映画とかでよく出てくるよね。
そうそう。アジア圏ではまだまだ現金が主流だけど、欧米では個人でも日常的に小切手が使われるみたいだね。
なにも書いていない小切手だったら盗難にあっても大丈夫だし、
何にいくら使ったか、という明細も記録されるからお金の管理に役立つみたいだね。
で、この小切手を受取った人は、これを銀行に提示することで
当座預金から現金を引き出すことができるわけだね。
フムフム。小切手をお金に交換してくれるわけですな。
そうそう。だから、小切手を受取った方は現金として認識するんだったよね。
じゃあ、早速具体的な仕訳を見ていきましょう。
■例:当座預金口座に現金10,000円を預け入れた。
資産の増加→ (当座預金) 10,000 / (現金) 10,000 ←資産の減少
■例:買掛金5,000円の支払いのために小切手を振り出して支払った。
負債の減少→ (買掛金) 5,000 / (当座預金) 5,000 ←資産の減少
小切手を支払う側の仕訳です。「当座預金」勘定を使います。
次は現金の章で学んだことの復習です。
■例:売掛金20,000円の回収として他人振出小切手を受取った。
資産の増加→ (現金) 20,000 / (売掛金) 20,000 ←資産の減少
■例:売掛金20,000円の回収として他人振出小切手を受取り、直ちに当座預金に預け入れた。
資産の増加→ (当座預金) 20,000 / (売掛金) 20,000 ←資産の減少
小切手を受取る側の仕訳です。
通常、他人振出小切手は「現金」として処理しますが、下の例は「直ちに当座預金へ預け入れた」という文章なので、
小切手⇒現金⇒当座預金の手順を、小切手⇒当座預金と省略しています。
ではお次はどうでしょう?
■例:売掛金20,000円の回収として自己振出小切手を受取った。
資産の増加→ (当座預金) 20,000 / (売掛金) 20,000 ←資産の減少
これは自己振出小切手を受け取っていると所がポイントです
何かの支払いのために当社が振り出した小切手が、銀行で現金化されず、
小切手のまま色々な会社を巡って、当社に戻ってくることがあります。
この場合、小切手を振り出した際に帳簿上は当座預金を減少させていましたが、
結局現実の当座預金口座からお金が引き出されることはなくなったわけですから
帳簿上の当座預金を元に戻してやる必要があります。
それで上記のような仕訳になります。
さてと、当座預金の仕訳が分かったところで、もう一つ大事なことを。
小切手を振り出すのはいいとして、もし当座預金が不足していたら、の話です。
・・・え?
振り出した小切手が預金を上回っていたら払えないよ?
それって、ひょっとして・・・倒産しちゃうんじゃ・・・?
そうだね。こういうのを「不渡り」というんだけど、そうだと本当に倒産してしまいます。
しかしそうならないために予め銀行と契約を結んでおきます。
当座預金口座にお金が足りない場合、その分を銀行が用立ててくれる契約です。
これを「当座借越契約」と呼びます。
要は銀行から借金するってことだね。
この当座預金の残高を超えた借金部分を「当座借越(とうざかりこし)」と呼びます。
当座借越の仕訳の方法は
①二勘定制
②一勘定制
の2種類が考えられます。
①二勘定制では「当座預金」と「当座借越」の2つの勘定を用い、
②一勘定制では「当座預金」勘定のみを用います。
例を見てみましょう。
■例:当社の当座預金残高は20,000円。キリン商店から商品30,000円を仕入れ、
代金は小切手で支払った。なお当社は二勘定制を採用している。
費用の増加→ (仕入) 30,000 / (当座預金) 20,000 ←資産の減少 / (当座借越) 10,000 ←負債の増加
■例:上記の取引の後、インコ商店に対する売掛金50,000円を同店振出の小切手で受取り、直ちに当座預金に預け入れた。
負債の減少→ (当座借越) 10,000 / (売掛金) 50,000 ←資産の減少 資産の増加→ (当座預金) 40,000 /
■例:当社の当座預金残高は20,000円。キリン商店から商品30,000円を仕入れ、
代金は小切手で支払った。なお当社は一勘定制を採用している。
費用の増加→ (仕入) 30,000 / (当座預金) 30,000 ←資産の減少
■例:上記の取引の後、インコ商店に対する売掛金50,000円を同店振出の小切手で受取り、直ちに当座預金に預け入れた。
資産の増加→ (当座預金) 50,000 / (売掛金) 50,000 ←資産の減少
二勘定制と一勘定制の比較です。
二勘定制では借金部分が当座借越として明確に現れます。
そして、当座預金へ入金するとまず借金である当座借越を解消するよう仕訳をきります。
一方、一勘定制では「当座預金」しか用いないので、銀行から借金をしているのかどうかがわかりません。
ただいちいち当座借越と書かなくていい分、記帳が簡便です。
簿記検定において言えば、借越契約の話が出てこない限り
当座借越のことは考えなくても良いでしょう。
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