工業簿記と原価計算の関係

工業簿記と原価計算。

呼び方は違うけれど、要は同じものなの?
という疑問がわきますが、厳密に言うとこれらは別物です。

 

ここから若干脇道に逸れますが、お付き合いくださいm(--)m

 

工業簿記はその名の通り簿記ですから、製品を作ったらそれが何円なのか知る必要があります。
(簿記はお金の動きを記録して、最終的に財務諸表という会社の成績表を外部向けに作成することが目的です)

つまり製品原価を必要とします。
その原価情報を提供してくれるのが原価計算という手法です。

しかし原価計算というのは単に「製品一つが何円で作れたか」を考えるだけの技術ではありません

・この製品を何個売れば会社全体で利益が出るのか?
・この事業は一見儲けていないようだが、本当に不採算事業なのか?
・投資案件があるが将来プラスになる見込みがあるだろうか

こういった経営の意思決定に役立つ情報も提供してくれるのです。
これらは会社の外部の者に伝える必要はありません。会社内部でのみ利用する情報です。

このように会社内部で使用する経営に資する会計のことを管理会計と呼び、これには公共的なルールがありません。
各会社が自分たちの使いやすい仕組みを作って活用しています。

管理会計の逆に制度会計という会計があります。
名前の通り制度(ルール)によって規定されています。

この制度会計の中に財務会計というものが分類されます。

これは財務諸表(決算書)、つまり公開する会社の成績表を作成する会計を指します。
財務諸表作りにはこと細かいルールがあります。
投資家などが複数の会社を比較検証するため、同じ尺度で作る必要があるからです。

 

号の色(青色、黄色、赤色)は全国共通で同じ意味を持たせていますよね。
仮に東京は紫で進め、大阪はピンクで進め、とかだったら分かりにくくて仕方ありません。
事故を誘発する気まんまんじゃないですか。(まぁ私はあまり車に乗らないので困りませんが・・・)
共通のルールがあるから便利なのです。
事がスムーズに運ぶのです。

同様に、企業が個々に独自のルールを設けて財務諸表を作っていたのでは読みにくくていけません。
共通のルールが必要です。
こういう取引をしたときはこんな記録の仕方をしますよ、といった決まり事を作っておくのです。

この決まり事を順守する会計が財務会計です。

 

を戻して、工業簿記と原価計算の関係。
材料を消費したり人件費が発生したなどの記録は財務会計の分野です。
何を何円使ったかははっきり分かることです。

そしてこの原価要素(材料や労働力)の消費額が製品や仕掛品へと振り替えられるのですが、
ではどの製品が何円なのか? という疑問には財務会計は答えることができません。
(昔はざっくりと製品原価を計算していたようですが、
工業化した現代において合理的な計算をしようとしても無理です)

そこで誕生したのが原価計算という仕組みです。

原価計算は財務会計からデータを提供してもらい、それを用いて複雑な計算をこなし、
製品や仕掛品の原価を合理的に算出します。

この製品原価や仕掛品原価を財務会計に返すことで、
財務会計は適切な損益計算や財政状態を示すことができるのです。

このように原価計算は財務会計が対応できない部分を補う外注先のようなもので、
この原価計算とのやり取りを担う財務会計の窓口が工業簿記なのです。

 


 

ただ、簿記検定では
「工業簿記」という科目に製品原価や仕掛品原価を計算する分野を収め、
「原価計算」という科目に直接原価計算や投資計画など管理会計の分野を担当させているように見受けられます。

 
 
 

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原価というのは材料費だけではありません。
原価計算は商売をする人にとって必修科目だと思います。


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Last-modified: 2019-12-19 (木) 17:58:44