たまにテレビで個人商店で年商何億円!とかいって紹介している番組があります。
あれを見て「うわ~、意外とこの商売って儲かるんだなぁ」と感心したりしますね。
まさにニッチな産業(隙間産業)、
目の付け所がいいなぁ、と勉強になります。
しかし、年商何億円には騙されません。
「すげ~、何億円ものお金が毎年この人の銀行預金に入ってくるのかぁ」
なんて考えていませんか?
恥ずかしながら、私、そう思っていました(^^;)
これは間違いです。
年商というのは、あくまで、一年間でどれだけ売り上げたか、を示す数字(金額)です。
儲けではありません。
『売上高』というものと一緒です。売値×数量です。
そこに仕入れ値などの原価や費用は含まれていません。
もちろん売上の量が多くなれば多くなるほど、利益の増加率は高まるので年商が高いことはいいことです(一般的に売上高の上昇率よりも利益の上昇率の方が高いです。これは製造業であれ流通業であれ、仕入の量が増えれば単位当たりの仕入コストが減少するからです)。
ですが、「年商が大きい=儲かっている」ではありません。
その気になれば、あなただって年商1億円以上の取引は可能です。利益を度外視すれば。
たとえば、100,000円のものを仕入れてきて、それを100,000円で売れば、売上高が100,000円計上されます。これを1000回行えば、100,000円×1000回=1億円です。
・・・
・・・・・・
できそうでしょ? 年商1億円。
一日たった3つ売ったらいいんです。
え?無理?
だったら他の店より値下げすればどうですか?
利益がでるどころか損をしてしまいますが、それでも年商1億円は達成できるでしょう。
なんの自慢にもなりませんがw
でもたぶん、自分は「年商1億円だ」って他の人に言ったら
「おお~、まじか。すげぇな」
と羨ましがられると思います。 全然儲けてないのに。
まぁ、こんなこと誰もやりませんが(無意味ですから)、
「年商が大きい=儲けている」ではないことが何となくお分かり頂けたかと思います。
じゃあ、
「テレビで紹介されている人たちは、いったいいくら儲かっているんだ?」
と思いますよね。
・・・
・・・・・・思いますよね!思うに決まった!
営業利益率(営業利益/売上高)は業種によって異なりますので、大まかにしか分かりませんが、
中小企業規模の小売業であれば営業利益は売上高の5~6%だといわれています。
営業利益(本業での利益です)には通常の営業活動に関わる費用しか加味されていませんから、
さらに借入金の利息など他の費用を引いた経常利益の売上高との比率(経常利益率)は
3%程度になるようです。
・・・
・・・・・・
年商の3%が経常利益。
何億円(1~4億くらい?)×3%=300万円~1200万円くらい?
・・・
・・・・・・
ずいぶん、億円から遠のきましたね。
なんか一般サラリーマンの年収とそう大差ないような・・・。
ここから所得税やらを差し引くと更に(´・ω・;)ショボンな数字になりそうです。
注)ただし個人事業の場合、自分の人件費は費用計上されないので上の利益率よりは若干高いとは思います。
こうやって考えてみると、収入は「へ~」、くらいなんですね。
テレビ的には『年収1000万円!』より『年商何億円!』と煽ったほうが、
視聴者の食いつきは格段にいいはずですから、そういう構成にしてるんでしょうけど。
鵜呑みにしちゃいけないですね(´・ω・`)
こういうことも会計簿記の知識があると、難なく理解できるので
やはり簿記の勉強はするべきだと私は思います。
経済社会で生きていく上で有利になること間違いなし!
★簿記の教材① 「とある会社の経理さんが教える 楽しくわかる! 簿記入門」 | ||
|
トコトン分かりやすく、漫画で読み進め易い簿記入門書。 恐縮ですが私の著書です。 一般的な入門書やテキストがあまり触れていない簿記の根本的な考え方に言及しています。 「なんでこんな仕訳をするの?」というところをしつこいくらい説明しています。 簿記検定の副読書としてもご活用ください。 対象は初学者、簿記3級合格者ですが、2級・1級合格者にも役立つ情報を掲載しています。 よろしければ本の中身サンプルをご覧ください。 読者様からいただいた感想もご参考ください(サイト全体に対するコメントも含まれています)。 |
★簿記の教材② 「とある会社の経理さんが教える 楽しくわかる! 原価計算入門」 | ||
|
さらに恐縮ですが、私の著書です。私の本業、原価計算の入門書です。こちらは 日商簿記検定2級の副読書としてご活用ください。 よろしければ本の中身のサンプルをご覧ください。 日商簿記2級で登場する工業簿記に相当する範囲を収めています。 個別原価計算、総合原価計算、標準原価計算、直接原価計算を扱っています。 おサルが趣味のお菓子作りを通して 「ものを作るために要する費用」の計算方法を学んでいくストーリーです。 原価というのは材料費だけではありません。 原価計算は商売をする人にとって必修科目だと思います。 |