商品の決算整理は期首棚卸と期末棚卸に対して行う仕訳です。
すでに商品の章で説明済みですが、簡単に解説します。
商品に関する決算整理は「仕入」勘定と「繰越商品」勘定の振替えです。
期首の分と期末の分の仕訳を行います。
【期首分の振替え】
費用の増加→ 仕入 150,000 / 繰越商品 150,000 ←資産の減少
【期末分の振替え】
資産の増加→ 繰越商品 75,000 / 仕入 75,000 ←費用の減少
これは仕訳だけを見てもなんのこっちゃ良く分かりませんね(^^;
結論から言うと、この2つの仕訳は「仕入」勘定で売上原価を求めるための処理です。
売上原価というのは売り上げた商品の原価(仕入れ値)です。
現行の損益計算書では売上高の次に記載される項目です(上から2番目に位置します)。
以下に損益計算書の例を示します。
売上原価は売れた商品の原価(費用)です。
たまに勘違いされている方がいますが、商品は仕入れただけでは費用になりません。
売れて初めて費用になります。売れなければ資産になります。
え?「仕入」勘定は費用だよね?
確かに、期中においては仕入れた商品全てが一時的に費用として処理されるけど、
決算整理を行うことで売れた商品だけが費用になって、売れ残りは資産に分類されるんだ。
「売れるまでは資産、売れて費用になる」と覚えておいた方が自然な考え方ができるようになると思うよ。
ね?この図を見ても分かるように、貸方(右側)の期末商品(期末棚卸高)は資産に振替えられるんだから、
その残りだけが売上原価(費用)になってるでしょ。
始めにも言ったけど、なんでわざわざ「仕入」勘定に振替えているかってのは
この差額を求めたいからなんだ。
「仕入」の中で計算するために、突っ込んでるって感じなのかな。
あ、この売上原価という名称はあくまで損益計算書に記載する時に用いるものだから
売上原価 1,575,000 / 仕入 1,575,000
なんて仕訳は考えなくていいよ。
・・・・・・
というかむしろ、こっちかな。
損益 1,575,000 / 仕入 1,575,000
これは決算整理の後に行う仕訳なので覚えておいた方がいいですね。
後で説明しますが、これは決算振替(けっさんふりかえ)という処理の一つです。
「売上」や「仕入」などの収益・費用の勘定は期首にはゼロで始まらなければいけません。
決められた一期間の儲けを計るための数字なので、一年の始めから数字が入っていてはダメなんです。
つまり会計期間の最後(決算日)において残高がゼロになる仕訳をしなければなりません。
その際に用いるのが「損益」勘定です。
「損益」勘定に全ての収益・費用の勘定を振替えることで、全て残高がゼロになります。
そして損益勘定には一会計期間の収益・費用が集結して、儲けを計算することができるようになります。
とりあえず、商品の決算整理はここまでです。
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