【税理士試験講座】理論問題の勉強方法

税理士試験

1.理論問題の概要

税理士試験は大体の場合、計算問題と理論問題が出題されます。
例外としては簿記論は計算だけ、国税徴収法は理論だけらしいですが、他の9科目は計算50点+理論50点で出題されます。
ですから税理士試験で理論の勉強は避けては通れないわけです。

じゃあ理論問題ってなんなの?って話ですが、言葉通り該当科目の理論的な部分の理解度が問われます。

例えば減価償却という固定資産の価値を耐用年数に応じて徐々に費用化する処理がありますが、これはどういう目的で行っていますか?また、どんな効果が期待できますか?
と聞かれた時に「適切な期間損益を計算するため」であり「キャッシュフローの観点から自己金融と呼ばれる効果がある」なんて答えることができるかどうかが問われている訳です。
減価償却は支出を伴わない費用なので現金は手元に残るんですね。

実務では「こういう時はこう処理するんだ」と定型的な会計処理や税務処理を行っていますが、なんとなく処理をしている訳ではなくその処理を行う根拠があるわけです。バックボーンがあるんですね。

会計であれば企業会計原則、各種の企業会計基準、実務指針などに基づいており、各税法はそれぞれの税法や施行規則、基本通達、租税特別措置法などに基づいて実務は行われているのです。

こういった根拠規定、その処理をするに至った考え方、目的、効果などを聞かれるが理論問題です。

2.出題パターン

細かく分ければもっとあるかもしれませんが、大きくこの3つに分けられると思います。
①理論ベタ書き
②事例問題
③正誤問題

①の理論ベタ書きは「〜について説明しなさい」などの問われかたをします。
これは理論のテキストで覚えた条文や言葉の定義をそのまま書き出すだけの問題です。覚えてさえいれば答えられるので解きやすい問題です。
本試験がスタートした直後は緊張しているのでこういった何も考えずに解ける問題で緊張をほぐすのがお勧めです。
私はこのベタ書きの問題が出題されたら真っ先に解きます。

②事例問題は具体的な前提条件が提示されどういった処理が考えられるかを答えます。
これはものによっては少々時間がかかる問題です。
前提条件を正確かつ素早く読んでどの規定を答えるべきか、結論はどうなるかを頭の中でざっくりまとめて書き出す必要があります。
説明するために条文の文章を使いながら少々アレンジを加えていきます。
この問題に答えられるようになるためにはそれなりに訓練が必要です。
想定される問題を多く解いて「こう来たらこう解く」というパターンを多く準備しておくことが大事だと思います。
この問題で時間を多く消費してしまうと他の問題を解けなくなってしまうので、難しいかな?と感じたら後回しにするのも手だと思います。
ただし捨ててしまうと確実に落ちると考えた方がいいでしょう。
専門学校のテキストに載っていないことが問われているなら誰にも解けないので無視しても大丈夫ですが、まぁあまりないことです。

③正誤問題は「こういうときはこうなります」という短めの文章が提示されそれが正しいか誤っているかを答えます。誤っている場合はどこが誤っているのか、正しいのは何かを答えます。

これは比較的解きやすい問題です。少し細かい話が問われることもありますが、理論をしっかり勉強できていれば問題なく解けます。国税庁のQ&Aに記載されている事例が問われたりすることもあります。専門学校の教材だけでなく自分で国税庁のサイトを見てみるのも大事です。専門学校によってはその辺りも補助資料として提供してくれたりもします。
私は相続税法、消費税法の勉強の際国税庁のサイトでたくさんのQ&Aに目を通し、申告書や届出にどんな種類があるのかその書式にも目を通していました。

3.勉強方法

暗記の仕方、本試験を解くための勉強方法、受験テクニック

問題の出題パターンを見た上で今後はどのような勉強をすれば対応できるのかを見ていきましょう。

①理論の暗記の仕方
具体的にはこういった、これはTACの教材ですが、このような理論のテキストを暗記することになります。
科目によって暗記すべき量は異なりますが、覚える量が少なめとされる消費税法で120ページ程度あります。量が多いとされる法人税法や所得税法で240Pくらいでしょうか。

これをまるっと覚えてしまいます。
先に出題パターンをご紹介しましたが、①ベタ書き、②事例問題、③正誤問題いづれもこの理論テキストを丸暗記していることが前提となります。

丸暗記というと一語一句間違えずに覚えるの?という疑問が生じると思います。
基本的に一語一句間違えずに覚えるというスタンスで暗記した方がいいです。
読点の有無は気にしなくていいと思います。

そうしておけば
結果的に解答する際に少し異なる書き方をしてしまっても、たとえばA及びBとテキストに記載されていたものをB及びAと書いてしまっても文章全体の意味が誤っていなければ不正解にはならないと思います。

あと理論には重要度というか優先して覚えるべき指標があります。この辺りは専門学校によって差はあると思いますがタックの場合はABCでランク付けしています。
Aは最重要、Bは重要、Cはまぁ大事といった具合です。ここで勘違いしてはいけないのは別にCランクだから覚えなくて良いというわけではないということです。AだろうがBだろうがCだろうが関係なく全て覚えるのです。

本気で合格しようと頑張っている人は全て覚えてきます。

この指標はあくまで暗記すべき順番程度に思っておいた方がいいです。

Cランクの理論だと侮って覚えておらず、もし本試験で問われたらそれだけで不合格です。

それではこの理論テキストの1ページ1ページをどうやって暗記して行けばいいのかをご紹介します。
まずそもそもどのページから覚えて行けばいいのかということですが、そこは好きなところから始めてもらったらいいです。授業でやったページとか、重要度のページとかどこからでも構いません。最終的には全て覚えるわけですから順序は問いません。
そして読み進めるページが決まって読んでいくのですが、最初は読んでいても文章の意味があまり分からないかもしれません。それでも分からないままでいいのでどんなことが書いているのかな〜と読み進めてください。
それだけでも何らかの記憶が残ります。それが次のとっかかりになりますから。
暗記をしようとする場合、音読や黙読をして、そのページの頭から暗唱できるように練習してください。

手を動かして書くことで暗記が進むとも言われますが、書く作業って時間がかかるんですね。税理士試験の暗記量って相当な量があるので覚えるためにいちいち書いていたら時間がかかって仕方がありません。

基本的には読む。読んで覚えて、何も見ずに暗唱できるようになるんです。
ある程度暗唱できるようになったなと感じたら、そこで紙に書き出してみてください。覚えた気になっていても実際に書いてみると記憶が曖昧な場合があります。
書けないんですね。ちゃんと。そこでもう一度覚え直すんです。
音読・黙読→暗唱を繰り返して、書き出す
このサイクルで覚えられます。

こうして1ページ1ページ覚えていくのですが、残念ながら数週間も経てば折角覚えたものは暗唱できなくなっています。
これは当然のことで、ごく一部の天才を除いて、ほとんどの人の場合記憶というのは一回覚えただけでは定着しないからです。
記憶というのは何度も何度も繰り返すことでやっとこさ定着します。
だから、一度覚えたものが思い出せないからといって「自分は勉強が得意じゃないからな〜」なんて悲観する必要はないんです。みんなそうなんだから。
一度覚えただけで定着するわけないやろって話です。
何度も何度も繰り返して記憶を定着させることが試験勉強の鉄則だと思っています。
これは理論問題に限らず、計算問題でもそうです。なんなら税理士試験に限らずどんな試験でも共通の考え方です。
何度も何度も繰り返す、これが基本です。

ですから、理論テキストの暗記でも繰り返し繰り返しやるのです。
目標としてはテキストの初めから最後までの暗唱を5周以上やります。
最初の1周目は数ヶ月かかったりします。十分な暗記ができておらず覚えながら読み進めるのでどうしても時間がかかってしまいます。
回数を重ねていくと必要な期間はどんどん短くなっていきます。1ヶ月、2週間、1週間で1周できるようになってきます。
最終的には本試験前日1日で1周します。

これで理論テキストの暗記はOKです。

あと本試験は限られた時間内に要求された内容を手で書く必要があります。書く練習をして手を鍛えていないと手が疲れてしまい頭では分かっているのに解答することができない、なんてことが起こり得ます。私は実際にそういう経験があります。

理論問題の所要時間は45分くらいだとして10分は考える時間、35分は書きっぱなしになります。
高速かつほどほどに綺麗な字を書き続けるので相当手が疲れます。
(急いでいるので丁寧に書かなくても良いですが、採点者に配慮する心遣いは必要だと思います)
直前期には意識的に理論を書き出す練習をした方が良いと思います。

繰り返すことで記憶が定着するので私は理論テキストの最初から最後までの暗唱を6〜7回行います。

②本試験を解くための勉強方法
次に本試験を解くための勉強方法です。
ある程度理論テキストの暗記が進んで過去問で力試ししてみると全く歯が立ちません。
部分的に解ける問題もありますが、合格には程遠い出来になってしまいます。

これはなぜかというと、暗記した内容を上手にアウトプットできていないからです。
「〜について説明しなさい」という直接的な問われ方をすればベタ書きで書けるのですが、「何々に関連する規定を述べよ」みたいに同一グループに属する関連規定の一覧を書かせる、そんな問題もあります。
こういった問題には対しては、理論テキストをただ丸暗記しているだけでは対応できません。
「こういう問いに対しては、この規定とこの規定を答えれば良い」という問題と答えのセットのパターン化をしておく必要があります。

理論テキストの暗記は引き出しの中にものを入れていく作業であり、本試験問題を解くための勉強というのは、問いに対してどの引き出しを開けてくればいいのかを判断する訓練なのです。

この練習は理論テキストの丸暗記が前提となりますから、優先すべきは兎にも角にも理論の暗記です。

規定の暗記ができたら本試験対策として、問題に対してどの規定を書いたらいいのかを覚えるのです。これは本試験3〜4ヶ月前の4月5月あたりから始めても十分だと思います。
TACの場合だと理論ドクターという理論問題をまとめた本があるのでこれで学習できます。

③受験テクニック
最後に受験テクニックです。勉強方法自体は理論の暗記と本試験を解くための勉強方法で完成するのですが、少しでも本試験で有利に戦うためのテクニックをご紹介いたします。
私はこれらを実践しています。

イ)試験開始前に解答用紙を見ておく
ロ)問題全体を俯瞰する
ハ)解ける問題から解く
ニ)時間のリミットは必ず守る

イ)税理士試験は試験開始前に全ての解答用紙に受験番号を記入しなければいけません。ということは試験が始まる前に合法的(?)に解答用紙のチェックをすることができるのです。
試験官から受験番号を書いてください、と指示されるのが試験開始5分前とかなのであまり時間的余裕はありませんが、この時間は私は重要だと考えています。
解答用紙を見れば問題の種類を予測できるからです。

理論問題の解答用紙は大体の場合罫線が書かれた白紙なのですが、単なる白紙が2〜3P続いているような場合は「何かの規定をベタ書きさせる問題なのかな?」と予想できます。
「正・誤」と記載されていて、その下に空欄があれば「正誤問題があるな〜」と分かりますし、「定義」とか「取り扱い」なんて題目があれば「何かの定義を答えるんだな」とか「この規定の取り扱いについて答えればいいのか」なんてことが予想できます。
何を答えれば良いのかまでは分かりませんが、解答していく心構えができます。
これは大きなアドバンテージになります。

これは計算問題でも共通です。
という言うよりこの解答用紙のチェックは計算問題の方が効果は大きいです。
計算問題は解答用紙にかなり情報が入っているので解答用紙を見れば「今回はこっちの計算パターンか」とか「この論点を問われているんだな」という判断ができます。

また事前に解答用紙の枚数を知れることも大きなメリットです。
模擬テストを受けていると大体標準的な解答用紙の枚数がわかってきます。
「10Pなら標準的な量だな」とか、「12Pか、今回は解答量が多いから急いで書かないといけないかな」なんて心構えができます。
こういう気持ちの準備を整えるもの大事な要素です。

ロ)問題全体を俯瞰する
試験が始まってまずすることは問題全体の俯瞰です。
全ての問題にささっと目を通します。時間をかけず1〜2分でどういった問題が出題されているかをチェックします。
理論問題全体を見て解きやすい問題を見つけて解いていきます。先に述べた通り、私は理論ベタ書きのように何も考えず解くことができる問題を最初に解きます。ここで緊張をとっていきます。

ハ)解ける問題から解く
試験問題を解く際の鉄則は「解けるものから解く」です。
難しい問題を時間をかけて1題解くよりも、同じ時間を使って簡単な問題をたくさん解いた方が得点は高いのです。

ニ)時間のリミットは守る
試験は2時間です。理論問題は45〜50分、計算問題は70〜75分がちょうど良い塩梅だと思います。科目によって変動はあると思いますが、大体理論問題のよりも計算問題の方が時間を多く要する印象です。
自分で設定したこの時間に達したら「もう少し時間をかければ解けそうだ」と思ったとしても切り上げて計算問題に移りましょう。
この切り替えができないと計算問題を解く時間を失い結果的に総合得点を落としてしまいます。
私はとりあえず理論は40分を設定しておき、もう少し頑張れば解けると感じたら45分まで延長して、45分になればそこでスパッと切って計算問題に移行します。40分に達してこれ以上は進展がないかな?と感じたらさっさと計算問題へいきます。
計算問題なら短い時間で簡単な問題をたくさん解くことができます。そっちの方が得点が上がる可能性が高いので時間設定は厳守しましょう。

①長い言葉を一つの名詞として捉える

②記憶は何度も触れることで定着する
私は理論テキストを6周7周します。
授業で説明されていない箇所でも目を通していきます

千差万別人によって覚えやすい方法があると思います。ここで紹介するのは私の方法です。
それぞれが自分に合った方法を見つけるしかないのですが参考として私の方法をお伝えします。

私の経験上理論がいまいちな時は落ちます。

自分がテストを受けて

条文を丸暗記
これは大前提です。
ただし一字一句間違えてはいけない、なんてことはないと私は思います。もちろん言葉の定義や一つの単語とされているものを間違えたら「この人本当に分かってるのかな?」と思われかねないですが、主語と目的語の順序を逆にしてしまったとか大筋を間違えていなければ

勉強をしているとここの箇所はもう少し覚えやすい表現にアレンジしても正解をもらえるだろうというのが分かってきます。

まず税理士試験の理論問題がどういったものかを説明しますと、基本的に税法の条文を正しく覚えているかそして理解できているかを問う問題が出題されます。

パターンとしては次の3つに分類されます。

①暗記した条文をそのまま書き出すもの
〜という規定について説明しなさい。とか〜という単語の意義を答えなさいなどの問題が該当します。
これはどれだけ暗記できているかが問われる問題です。

具体的にはこういった理論テキストを暗記します。
税法、施行令の条文を覚えるのですが、何せ量が多い。税法の種類によって多寡はありますが法人税法、所得税法では200ページ超、相続税法で200ページくらい、消費税法で100ページ超です。
理想はこれをまるっと覚えてしまうことなのですが、
流石に一字一句間違えずに覚えるのはきついので専門学校の教材はラング付をしてくれています。
優先的に覚えた方がいいよってことです。ただ重要度の落ちる理論を捨てていいというわけではありません。今回の受験で絶対に合格したいのなら全て暗記すべきです。

私が所得税を受けた時「え、こんなマイナー理論聞いてくるの?」という問題が出題されました。過去1、2回しか出題されたことのない論点でもちろん重要度はCです。講義でも1回さらっと触れただけです。
私は流石にここは出ないだろうと切り捨てて

試験に合格する人はそういったところも得点できている人なのです。

一つの問題を全く解けない。空欄にしていたらかなり危険です。

本試験で出題されることがあります。
ここであーおぼえてないわーとなったらじゃあまた来年頑張ってねー

当たり前の話ですが、

過去の出題傾向や重要性から専門学校は理論にランクづけをしていると思います。
TACではA最重要、B重要、C普通のランク付をして覚えるべき優先順位をつけています。
これは目安にすれば良いのですが私は

その税法の根幹を成す規定であれば当然Aランクです

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