【簿記入門講座】複式簿記の利点

さて、複式簿記の利点を説明する前に単式の話をしましょう。

単式簿記はもともと資産や負債(あとで説明します)の種類が少ないことを前提にしています。

種類が少ない・・・?

たとえばお金の払い方。インコくんは物を買うとき、どうやってお金を払う?

どうやってって・・・。財布からお金をだして、手渡しするけど。

ああ、ごめんごめん。
そうじゃなくて、現金かクレジットカードかって意味だったんだ。
いつもは現金で支払っている、ってことでいいんだね?

そうそう。

買い物をする場合、現金払いの人は一定数います。

クレジットカードも普及しているけれど、使えない店もまだまだあるしね。
つまり、支払い手段は現金(資産)の1種類だけということになります。
(クレジットカード(負債)を入れても2種類)

だから単式簿記である家計簿には【日付】と【買った物の名前】と【金額】さえ書いておけば、後から見直しても、どういう物を買って、現金の残高がいくらかあるのかが分かる。現金で支払ったという前提があるからね。

これだけ記録しておけば実際の現金残高と帳簿上の現残高は一致する。

へぇ・・・?

でも、これが現金での支払いじゃなかったら?

え?

もし、家計簿の支払いの欄にクレジットカードでの支払いが混じっていたら、見分けつくかい?

ん?

家計簿は前回記帳した現金の残高に収入と支出を増減させて現在の金額を計算するよね。
でも、もしもクレジットカードの支払い分がその中に混じっていたら、クレジットカードは後払いだから、家計簿が示す現在の現金残高と実際にもっている現金との間に差が生まれることになるよ?
(以下の場合、実際は帳簿よりも2,500円多く持っていることになります)

あ~、そうだね。

それなら、クレジットカードの分だけ(クレジット)とか印をつけておけばいいんじゃない?

 

それなら、クレジットカードの分だけ、(クレジット)とか印をつけておけばいいんじゃない?
そうだね。
家計簿ならそれでいいかもしれないね。
でも、会社でもそうするとどうなるかな?
あ・・・。ひょっとして、項目が多いから・・・?
そう。
会社は代金の支払い方が現金だけじゃない。
買掛金(かいかけきん)と呼ばれる掛買い(後でお金払うよという約束。ツケのことです)や
手形(掛買いにより信頼をもたせるために書く証書です)を支払ったりもする。
また、前払金(仕入先に預けているお金)を代金とする場合もある。
これらが、たま~に登場するくらいなら家計簿みたいなやり方でも大丈夫かもしれないけど、
それぞれがかなりの頻度で取引で用いられる。
つまり、支払い分が現金なのか買掛金なのか支払手形なのか等明記しておかないと、
あとで帳簿を見たときに、それぞれどれだけ使ったのか分からなくなるんだ。
それで取引ごとにそれぞれの項目名を書く?
そう。それが仕訳なんだ。
そして項目ごとに集計することで、それぞれの残高が簡単に分かるってわけ。
つまり分類わけすることで、管理しやすくなるってことだね。
たとえを挙げようか。4月12日にバナナ一房を200円で買ったとしよう。
家計簿だったら『4/12 バナナ 200円』で十分わかる。
だけど、会社の帳簿だと
『バナナ 200 / 現金 200』
『バナナ 200 / 買掛金 200』
『バナナ 200 / 支払手形 200』
『バナナ 200 / 前払金 200』
のどれかの仕訳をしてやらないと後で分からなくなってしまうんだ。
一見面倒くさそうだけど、こうしておくことで、分類わけが簡単にできるんだ。
なるほど、だから取引ごとに仕訳を行うんだね。これが複式簿記なんだね。
そういうことだね。じゃあ次はその仕訳について学んでいこうか。

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