企業会計と法人税の関係

会社は利益に対して税金(法人税と住民税、事業税等)を納めなければいけません。
この納税によって国や地方自治体は住民サービスにお金を使えるわけです。

 

ちなみに会社の経営成績を表す損益計算書には税金部分はこんな風に表されます。

 

売上高
売上原価
売上総利益
営業費
営業利益
営業外収益
営業外費用
経常利益
特別利益
特別損失
税引き前当期純利益
法人税等
税引き後当期純利益

 

税引き前利益の下の行に税金の行がありますね。

利益が小さければ税額も小さく、利益が大きければ税額も大きくなる。
税額というのは計算の基となる数字に税率を乗じて計算するので、
基となる利益の多寡に影響を受けるのは当然です。

というのが基本的な思考です。
利益額と税額には因果関係があるはずです。

 

ところが。 ところがです。
いろんな会社のPLを見てみると分かるのですが、
利益に対して不相応な税金を払っている会社があるのです。

 

利益が大きいのに税額が小さい。 利益が小さいのに税額が大きい。

こんなことが実際に起こっているのです。

 

利益を税額計算の基にしているのになんでだ?と不思議に思われます。 どうしてこういう事態が生じるかというと、税額の基となる数字が、厳密には利益ではないからです。 利益に似た別の数字なのです。 利益に似た、と言ったのは利益に調整を加えることでこの数字が算定されるからです。 この税額の基となる金額のことを所得と呼びます。

所得。

何となく聞いたことありますよね。 所得税の所得です。

個人事業主はもちろんのこと、サラリーマンでも扶養家族関連や生命保険、住宅ローン、給与以外に収入があったなどで確定申告をするはずです。 その確定申告ってなんて名前の税金に対する確定申告ですか?

所得税ですよね。

法人の所得税に相当するものが法人税です。

所得の話に戻しましょう。

会社が計算した「利益」と税金計算での利益に相当する「所得」。 会社の会計の立場と税金計算での立場で利益の認識が異なるから

なんで両者は違うの?

理由は簡単。 目的が異なるからです。

企業会計の目的は利害関係者に会社の正しい情報を提供することにあります。 投資家や債権者の保護を目的としています。 会社が企業活動を行うためには資金が必要です。 ビジネスの全部が全部上手くいくとは限りません。

ビジネスが失敗すれば資金提供者は損害を被ることになります。

もし世の中にそんな失敗事例があふれていたら資金提供者はリスクを嫌い、投資をしなくなります。 すると新しいビジネスが育ちにくくなり、経済発展が鈍化してしまいます。

そこで資金提供者の不安を取り除くために法整備をして、会社の状態を表した情報を提供させているのです。


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Last-modified: 2019-12-19 (木) 17:58:23