*費用・収益の見越し・繰延べ [#i8566ad9]
期中に費用・収益を計上し、これらは期末に損益計算書の形でまとめられます。~
ただし損益計算書に記載される費用・収益は全てが当期に属するもので構成されていなければ~
正しい結果を示していることにはなりません。~
しかし、取引の中には当期に属さない費用・収益を計上することもあります。~
それを適切に処理することも決算整理の一つです。

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*経過勘定 [#zed76a24]

ここで問題にしているのは、複数の会計期間にまたがっている費用・収益です。~

例えばとある会社の会計期間が~
51期(2000年4月1日~2001年3月31日)、52期(2001年4月1日~2002年3月31日)として、~
ある保険(期間は2001年1月1日~2001年12月31日)の代金50,000円を2001年1月1日に支払ったとします。~
文字だけ見てもイメージしにくいので、図を示します。~
<&imgfolder(boki40.gif,経過勘定){};

上図から分かるように、この保険料のうち51期が負担すべき費用は1/1~3/31までの3ヶ月間分のはずです。~
しかし保険料を支払った際の仕訳は以下のようになります。~

■例:2001年1月1日、今後1年分の保険料50,000円を現金で支払った。
 費用の増加→ 支払保険料  50,000 / 現金  50,000 ←資産の減少

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減価償却の章など色々なところで書いていることですが、~
日本の会計基準は&size(25){&color(Red){一会計期間の正しい損益計算を重視};};しています。~
欧州では資産・負債の方を重視してたりするんですが。

で、この例の保険料。~
今は51期の決算をしたいのだけれど、~
保険料50,000円をそのまま51期の費用とするのはいささか問題がありそうです。

51期で保険の恩恵を受けられる期間は3ヶ月間(1/1~3/31)だけです。~
50,000円全額を費用とするのではなく、~
50,000円×3ヶ月÷12ヶ月=12,500円~
12,500円だけを費用とするべきなのです。~

となると差額の50,000円-12,500円=37,500円の支払保険料を逆仕訳したいところです。~

 資産の増加→ 前払費用  37,500 / 支払保険料  37,500 ←費用の減少

貸方(かしかた)に費用である支払保険料を書くことで費用を減少させています。~
先に保険料を現金で支払っていますが、これは支払った先から取り戻すことはできませんので~
代わりに「&size(25){&color(Red){前払費用};};」勘定を用います。~
これはその名の通り、もう「支払い済みの費用」という意味で資産勘定ではありますが、~
この勘定自体に換金価値があるわけではありません(売掛金などとは性質が異なります)。~

このように複数の会計期間にまたがる費用・収益を修正する勘定を&size(25){&color(Red){経過勘定};};と呼びます。~

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*経過勘定って? [#p810a2bd]
経過勘定には前払費用、前受収益、未払費用、未収収益の4つがあります。~
企業会計原則にはそれぞれの説明が書かれていますが、これら4つの本質は非常に似ています。~
共通しているのは以下の点です。ちょっと意訳してます。~
<一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける(or行う)場合に、~
役務の提供とその対価の時期的な食い違いがある際、資産もしくは負債として計上する

「一定の契約に従い、継続して役務の提供」というのは、~
ある期間を一単位として、「役務=何らかのサービス」の提供が行われる、ということです。~
例えばスーパーで卵を購入する場合、商品のやり取りは一度だけですが、~
保険の場合だと、ある期間を対象に料金を支払い、その間損害の補償というサービスを提供してもらえます。~
この保険のようなスタイルが「継続した役務の提供」です。


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*前払費用・前受収益・未払費用・未収収益 [#x339e582]
&color(Red){&size(25){前受収益};};は前払費用の逆です。~
すでに何らかのサービス提供の対価として報酬を得ているけれど、~
その報酬に次期以降の分が含まれている場合に、当該収益分を負債として計上する必要があります。~

 収益の減少→ 受取手数料  / 前受収益 ←負債の増加

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&color(Red){&size(25){未払費用};};は既に当期に何らかのサービス提供を受けているが、~
代金の支払時期が次期以降であるため、まだ支払が済んでいない場合に発生します。~

 費用の増加→ 支払保険料  / 未払費用 ←負債の増加
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&size(25){&color(Red){未収収益};};は未払費用の逆と考えればよいでしょう。~
当期にサービス提供をしているけれど、その代金の回収時期が時期以降であるため、~
まだその収益が仕訳帳・元帳に記載されていない状態です。~

 資産の増加→ 未収収益  / 受取手数料 ←収益の増加

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*未払金・未収金(未収入金)は似てるけど・・・ [#y5e4b521]
勘定科目には未払金(みばらいきん)・未収金(みしゅうきん)という科目があります。~
一見すると未払費用・未収収益と良く似ているので混同してしまいそうですが、~
これらは全くの別物なのでしっかり分けて覚える必要があります。

未払費用・未収収益はここで説明してきたように経過勘定です。~
つまり「&color(Red){&size(25){継続して役務};};を提供するor受ける」という場合が該当します。

未払金・未収金は「継続や役務」には関係なく~
「払うべきものをまだ払っていない」、「もらうべきものをまだもらっていない」~
という際に用いる勘定科目です。~
性質は&size(25){&color(Red){買掛金や売掛金に近い};};です。~
ただ、&color(Red){&size(25){本業以外の取引};};に使用します。~
本業では買掛金・売掛金、本業以外の取引では未払金・未収金、と考えていいと思います。~

&size(25){■};例:土地5,000,000を購入し、代金は後日支払うことにした。
 資産の増加→ 土地  5,000,000 / 未払金  5,000,000 ←負債の増加


例えば製造業の会社が土地を購入した場合、これは本業での取引ではありません。~
(土地を商品として扱っているわけではない)~
なので、貸方(右側)を「買掛金」とはせずに「未払金」としています。~




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