工業簿記は「製品一個の原価を求める」ことを目的としていますが、
製品と一言に言ってもその種類は膨大です。
製品の製造法によってその原価の計算方法も変えた方が適切な場合があります。
特注品の船舶と大量生産の衣料品の製造原価の計算方法が異なることは感覚的に分かるのではないでしょうか。
この世に出回っている有形の商品のほぼ全てが何らかの加工を受けて販売されています。
そしてこれらの生産計画は大きく分けて2種類が考えられます。
受注生産と見込生産です。
受注生産とは、注文があってから作り始める形態で、例えば特注品。
先に挙げた船舶であったり、オーダーメイドの家具などが該当します。
見込生産とは、あらかじめ売れる数量を予測して一定数量を大量生産する形態です。
加工食品や日用雑貨などが当たります。
受注生産と見込生産では原価計算の方法が少し異なります。
異なるというか、違う手法を採った方がそれぞれの原価計算が適切に行えるから結果的に違っている、
といったところでしょうか。
原価計算の方法を2つに大別すると個別原価計算と総合原価計算に分けられます。
個別原価計算は受注生産される製品を、総合原価計算は見込み生産される製品を対象としています。
ただ個別原価計算といっても、製品1個ずつというわけではなく、注文が1つというイメージです。
一回の注文で同一製品が複数個(10個、100個で1ロットという表現がされます)要求されることもありますから。
これらをまとめて個別です。
個別原価計算と総合原価計算の計算方法の違いは、大雑把に言うと、
個別原価計算は原価の項目一つ一つの数字を明確に認識して、
総合原価計算は全体でかかった費用をザックリと一個一個の製品に割当てる計算方法です。
細かい手法については後の章にて説明します。
ちなみに原価計算期間は一般的に1ヶ月です。
製造業であっても会計期間は1年間ですが、原価計算に関しては1ヶ月が一般的でしょう。
簿記検定においても1ヶ月で出題されます。
期間を短くしているのは、原価計算が利益計画に関連する要素だからです。
経営者としてはなるべくvividな情報を手に入れたいと考えるので、短いスパンでの情報を欲しいのです。
ひょっとすると1ヶ月よりも短いかもしれません。
それこそ1週間とか1日とか。
期間が短いほど最新の情報を得る機会が増えます。
ただし、毎日なんてのは作業が煩雑すぎるので、1ヶ月が妥当なところなのでしょう。
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